川口香世子のアロマテラピー

10年前には馴染みのなかった「ホリスティック」という言葉も、耳にすることが多くなった昨今ですが、どのような意味か説明できる人は少ないかもしれません。ホリスティックの語源はギリシャ語の「ホロス」から来ており、英語のwhole(全体)はこのホロスから来ています。つまり、ホリスティックとは全体を意味しています。一人の人間を見るときに、臓器、病気だけを取り扱うのではなく、「心、肉体、精神、霊魂」全てを考慮に入れて、一人の人間としてとらえるということです。

ホリスティックセラピーとは、現在現れている症状だけを見るのではなく、心、食生活、運動、休養、その他の生活環境、気、霊性など、クライアントを取りまく全ての要素に注目し、クライアントの健康状態に悪影響を及ぼしているものはないか考察します。クライアントの体調不良の原因を探し出し、原因に対してアプローチすることで、よりよい健康状態を保つ、または健康に向かうよう試みるセラピーを言います。 ホリスティックセラピーを行うには問診とトリートメント後のアドバイスが不可欠です。

ホリスティック・セラピーとしてのアロマセラピー、リフレクソロジーを行うためには、クライアントの生活習慣(食生活、運動、休養など)、人間関係、ストレス認識、住環境、仕事の内容、病歴(本人、家族)を知る必要があります。その上で、クライアントに適切な精油の選択、トリートメント内容が決定されるべきなのです。

アロマセラピーとは

アロマセラピー・トリートメントを行うときに、精油を単一もしくは複数種類ブレンドした植物オイルを用いますが、香りを楽しむためであれば、クライアントの好みの香りでブレンドを行うとよいでしょう。しかし、ホリスティックセラピーとして、健康の維持、増進を目的としたトリートメントを行うときには、精油の持つ特性や効果を考えた上でブレンドを行います。

ブレンドは次の3つの要素に対応する精油を選択します。
1.今現在現れている症状に対して効果を現す精油
2.症状を引き起こしている原因に対して効果を現す精油
3.全体をまとめる精油

精油の選択は問診を参考に、クライアントの状態を分析して行います。

これは中医学の方剤処方の基本原則とほぼ同じです。自然療法の考え方は同じであることがわかります。 ホリスティック・アロマセラピーを行うためには、問診、視診、触診は必須項目となります。クライアントの生活状態や心理状態を把握し、精油を選択し、トリートメントを行います。トリートメント後には生活の改善点などアドバイスが必要です。 健康はクライアントみずからが構築するものです。セラピストはクライアントがアドバイスを理解、実行し、真の健康を手にできるようサポートします。

アロマセラピーとは

リフレクソロジーにおいては足裏を刺激し、単純に反応の取れた反射区に対応する臓器が悪いとすることはできません。状況によっては、滞りのある臓器の反射区から反応が感じ取れない場合もありますし、健康な臓器の反射区から反応を感じることもあります。的確にクライアントの身体の状態を把握するためには、問診が必要になります。私の恩師キャロル・ギルビーは、『問診からの情報が8割、足の反応からの情報が2割をもとにして、クライアントの体を判断する』と言っています。ですからクライアントの体調を聞き取り、その中から不調の原因を探し出し、該当する反射区を刺激したり、あえてその反射区をはずしてトリートメントすることが必要になるのです。クライアントにより、トリートメント時間、加える力加減は変わりますし、また刺激する部位も多少変わります。画一的な内容のトリートメントはホリスティックトリートメントとは言えません。

アロマセラピーとは

植物の持つ香りの液体を抽出したもの(精油=エッセンシャルオイル)を用いて、心と身体の健康やリラックスを増進する自然療法です。 香りが用いられてきた歴史は古く、聖書の中にもシナモン、ロックローズ、ミルラ、スパイクナード、フランキンセンスなどがでてきます。 アロマセラピーと言う言葉は1937年にルネ・モーリス・ガトフォッセが提唱したのが始まりとされています。ガトフォッセが精油に消毒作用や鎮痛作用があることを見出し、自ら負ったやけどをラベンダーオイルで治療した話は有名です。

香りの成分は、植物の根、葉、花、実を水蒸気蒸留という方法で抽出します。(溶剤抽出、圧搾抽出するものもあります) *水蒸気蒸留法:植物に蒸気を当てることで、香りを揮発させます。揮発したオイル成分をふたたび冷却し液体に戻します。この液体が精油と芳香蒸留水と呼ばれる水分になります。

植物によって、精油をどのぐらい含んでいるかは違います。この違いが精油の価格に反映されています。 例えば、バラの精油を1リットル採るためには、約200kgの花が必要です。しかし、ラベンダーは約35kgでよいのです。バラの精油は5mlで24000円(1滴あたり168円)ですが、真正ラベンダーは10mlで2625円(1滴あたり10円)です。バラの精油はラベンダーの20倍近く高いということになります。バラに比べれば安いように思えるラベンダーの精油も、沢山のラベンダーの花から得られるのですから、精油の1滴はとても貴重なことがわかります。精油は大切に使って下さい。

食品やトイレタリー、医薬品に使用されるペパーミントの精油には、数百種類の化学成分が含まれているといわれています。化学成分の一つずつに効果が明らかになっているものもありますが、多くはまだ単一成分の効果は未知で、漢方薬のように、化学成分の複合が、副作用、毒を消し、総合として効果があると考えられています。

精油に含有されている化学成分は、同じ植物でも、栽培されている(または自生している)場所や、緯度、高度、日当たり、採取時期、採取時間、蒸留方法(加圧、蒸留時間)などにより、含有率が変わります。精油の購入時には成分分析表が添付されている商品を購入されることをお薦めします。